2011年3月17日木曜日

こういうときは外国人が正しい

 東京にいる小野登志郎くんというノンフィクションライターと電話で話した。彼は、新宿歌舞伎町でいわゆる「中国マフィア」の取材をしているのだが、この間、まったく仕事にならないという。取材対象である中国人たちが、街から姿を消したのだ。それが震災を恐れてなのか、原子力災害を恐れてなのかはわからないが、彼らにとって東京はすでに退避すべき場所なのだ。中国人だけではない。アメリカ人もフランス人もドイツ人も退避している。さまざまな人種・職種・階層の外国人たちが一斉に退避しているなかで、日本人だけが東京に居残っているという状態だ。
 日本人か外国人かということを一般的に言うことは戒めるべきだが、こういうときは、外国人が正しい。あまり使いたくない言葉だが、「危機管理能力」というやつだ。ある土地に外国人として生きる人々は、日常的にさまざまな保護を受けられないために、いわゆる「危機管理能力」を高めなくてはならない。感受性・緊張感・判断力が研ぎ澄まされてしまう。入手する情報のチャンネルも複数もっている。日本のテレビだけを見て「情報収集」とか言っているのは、彼らから見れば児戯に等しい。
 自分ひとりでは判断がつかないという人は、いま外国人がどう動いているかを見てほしい。
 こういうときは、外国人が正しい。