2011年4月29日金曜日

東京での行動計画

 アメリカの活動家から支援の申し出があったので、放射線計測の方法と機材を提供してもらうように要請した。
 原子力災害から40日以上たっているが、東京都のモニタリングポストは一つのみである。首都圏に放射性物質が飛散しているのは衆知の事実だが、国・都・区はこの事態に対応した放射線計測を行っていない。計測をしなければ、必要な除染措置もとれない。これは後々大きな問題になると思う。
 機材が調達できしだい、近所の児童公園の砂場を調査しようと思う。まず、娘の同級生が暮らす北区からだ。

追記
 この行動がめざすのは、原子力の被害を隠蔽させないことである。国際原子力産業は今後、フクシマ事件の収束にむけて、リスク評価の算定に入る。国際原子力資本はリスクを最小限に評価し、これに対する補償をできるかぎり圧縮するために働きかけていく。この数字の操作は、今後の原子力事業の存続を左右する死活的な課題である。重大な被害がいとも簡単に見逃され、うやむやにされていくだろう。
 国際原子力資本と原子力棄民との階級的抗争は、被害を直視するか、被害をうやむやにするかという認知的次元での闘いになる。原子力産業が配備する嘘と秘密と印象操作に対して、これを打ち破る闘いが始まる。

2011年4月27日水曜日

明るくない東京

 一ヶ月ぶりに東京に来た。
 名古屋から高速バスで3400円。昔に比べるとずいぶん近くなった。
 夜の9時に東京駅に到着したが、節電対策のせいで、街は少し薄暗い。といっても不自由を感じるほどではない。大阪・名古屋よりは少し暗いが、地方都市に行けばだいたいこんなもんだ。
 これから部屋の片付けやもろもろで4〜5日は滞在するつもりだが、東京で見ておきたいのは災害のもうひとつの位相、都市機能災害の空気である。

 今次の災害は、3つの位相を持っている。
1、地震・津波災害
2、原子力災害
3、都市機能災害

 首都圏の都市機能災害は、3月11日に発生した帰宅困難者問題や3月23日の水道水問題などが記憶に新しい。現在は照明不足による交通事故が発生していて、この夏には冷房不足による熱中症が懸念されている。医療体制が間に合わなければ、いくらかの死者が出ることも想定される。
 こうした問題の根底には、首都圏の人口過多がある。都市の人口規模が大きいことで身動きできなくなっているのだ。実際、4000万人にものぼる巨大人口は災害対策の大きな障害になっているのだが、日本にはこの人口を救援するだけの力はない。したがって、この街は災害救援の対象でありながら同時に災害救援の主体であるという奇妙な位置におかれるのだ。
 考えてみればおそろしいことだ。いま首都圏住民は弱音を吐くことも許されない。千葉県では埋め立て地が液状化し、ガスタンクが爆発し、それらの復旧が充分にできていないというのに、東京ディズニーランドが再開している。照明を抑えた明るくないディズニーランドで、楽しそうに、まるで自分たちが被災者でないかのように振るまうのだ。不謹慎かもしれないが、すごくおもしろい。

2011年4月26日火曜日

名古屋デビュー

 19日、緊急企画「原子力災害とその後」(白石嘉治・矢部史郎・飯尾浩光)で討議。終了後、大須のバーで朝まで飲む。
 21日、日本福祉大学の人と今池で会議。というか飲み。
 22日、引っ越しの荷物が到着。
 23日、荷物整理と並行して、デモで使用する横断幕を作成。
 24日、LOVE&ビンボー(アースデイとメーデーを合体させたお祭り)に参加。参加というか、ほぼスタッフ。終了後、金山の居酒屋で打ち上げ。


 というわけで、疲れた。ブログを書いている暇がない。
 今後は名古屋の人文系大学人が集まる研究会(自主ゼミ?)に参加することが決まっている。あと、ニューヨークのサブ高祖さんが1~2カ月後に日本に来るというので、名古屋でなにかイベントを企画できたらいいなと思う。あとこれ以外にも秘密計画が進行中。
 まあ、忙しい。なにが忙しいって、交流と飲みが。名古屋は飲み代が安く、金山駅前の居酒屋なんか飲み食いして一人千円で済んでしまう。あんまり安いので、焼酎のボトル(一升瓶で700円!)を入れてしまった。やばいやばい。
 

2011年4月21日木曜日

地方自治の崩壊

川崎市長 ゴミ受け入れへ準備

東日本大震災の被災地で出た粗大ゴミを、川崎市が受け入れる方針を示しているのに対し、市民から「放射線を浴びたゴミを受け入れないでほしい」といった意見が多く寄せられていることについて、川崎市の阿部市長は、偏見に満ちた意見だとして、これまでどおり受け入れに向けて準備を進める考えを明らかにしました。

東日本大震災の被災地では、壊れた建物や家財道具などの大量の粗大ゴミが出て処理が追いつかなくなっているとして、川崎市は、市の浮島処理センターで受け入れる考えを示しています。しかし、この方針が明らかになった今月8日から18日までに、市役所に市民などから電話や電子メールなどで合わせて4770件の意見が寄せられ、その大半が「放射線を浴びたゴミを受け入れないでほしい」といった反対意見だったということです。これについて、阿部市長は19日の会見で、「汚染されたゴミが運ばれたら大変だと思われたのかもしれないが、汚染物質は区域外に搬出することがもともと禁止されており、川崎市が受け入れるのは一般のゴミだ」として、安全性に問題がないことを強調しました。そのうえで阿部市長は、「偏見に満ちた意見があったことは心外だ」と述べ、市民に冷静な対応を求め、これまでどおり受け入れに向けて準備を進める考えを明らかにしました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110419/t10015423761000.html

 ガセではないかと目を疑った。これが本当なら凄いことだ。4770件もの抗議をうけてなお、首長の独断で強行するのだ。放射性物質の検査方法も検査基準も明らかにせず、一方的に「安全性に問題ない」ときた。これが例外状態における「地方自治」だ。くそ。

学校に子供をあずけるな

年20ミリシーベルト 健康に影響出ることはない

 文部科学省は福島県内の学校などの施設、校庭の利用について校庭、園庭での1時間あたり放射線量が3.8マイクロシーベルトを超えるところでは屋外活動は1日1時間程度とし、屋内、園内での活動を軸にするように措置を講じたが、この基準について放射線影響学が専門の久住静代原子力安全委員会委員は20日開かれた衆議院青少年問題特別委員会で「(基準の妥当性について)社会的、学校教育等々、総合判断の下で可能と判断したもので、年間20ミリシーベルトで健康に影響が出るということはない」とした。

  また、久住原子力委員会委員は「決して、こども達に放射線量を年間20ミリシーベルトまで受けることを容認しているものでない。できるだけ、受けないように努めるべき」とした。また、今回の措置が夏季休業終了までの暫定的なものであることや継続してモニタリングが実施されていくことも総合判断の材料になっていることをうかがわせた。

  また、有松育子文部科学省スポーツ・青少年総括官は「継続的なモニタリングをしており、文部科学省として安心して学校教育を受けられるよう努めたい」とした。

  これは、宮本岳志議員(日本共産党)が「こどもは放射線の感受性が成人に比べ3倍から10倍あり、放射線の影響を受けやすいという専門家もいる」と語り、許容放射線量を年間20ミリシーベルトとした理由と安全性について質したのに答えた。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0420&f=national_0420_234.shtml

 どうですか、これ。
「自然界から受ける放射線量(外部被曝)は年間1ミリシーベルトだから、大丈夫」と言っていた政府が、「子供についても年間20ミリシーベルトぐらいは様子見でいこう」と言うのだ。しかも内部被爆は別勘定。放課後の時間も別勘定。毎日学校に通わせて子供たちを被曝地帯に拘束しておきながら、ちびっこが大人の見ていないところで泥遊びをしていましたなんてのも別勘定だ。
 もう、開いた口がふさがらない。
 原子力安全委員会は足し算ができないことは知っていたが、足し算の式をつくることすらできないことがわかった。

2011年4月19日火曜日

原子力都市と海賊

 昨日、名古屋のグループの会議に行ったら、「あー! 海賊が来た!」と言われた。「海賊だ海賊だわーい」って、あのさ、おれ東京では一応「知識人」的な扱いだったんだけど。名古屋の人たちはそういう理論的な関心が薄いんだかなんだかわからないが、もっぱら「海賊の人」(廣飯研究員とあわせて海賊コンビ)と認識されてしまった。まあいい。東京から名古屋に漂着して、なぜかデモの横断幕をつくったり、焼きそば屋台の担当になったりしてしまっているので、客観的に見れば海賊なのかもしれない。海賊研究じゃなくて、まんま海賊。
 それもこれも東電・福島第一のせいだ。我々なんかまだかわいいほうだ。東電の原発のおかげで、これから多くの人間がガチで海賊化していくだろう。たとえば漁師とかどうすんだよこれから。魚とれないじゃん。魚とれなくて、じゃあなにやって食うかって考えたら、いま私が思いつくのは、密輸? いま国産タバコが品切れ状態だから、朝鮮からタバコを運ぶ、とか? あと倫理的に問題ありだが、放射化した農産物を朝鮮やロシアに運んで売る、とかな。密輸以外に思いつくのは、誘拐? いま東北地方では全般的に警察が弱ってるから、誘拐もありだな。原子力推進学者の子や孫を誘拐して金をとるってのは、おれは全面的に支持だね(海賊研の総意ではありません)。
 あ、今日のシンポでは海賊の話はしません。海賊ばなしがしたい人は、2次会以降で。

2011年4月18日月曜日

今日は名古屋で鍋会

名古屋の中村区(中村区役所前駅)で鍋と会議。「LOVE&ビンボー」というアースデイとメーデーが一つになったイベントの実行委員会。明日のシンポジウムの打ち合わせも兼ねて、廣飯くんと共に参加する。名古屋の運動界隈がどんな人たちなのか、ちょっと不安もあるが、実行委会議がイコール鍋会という作風には期待したい。

2011年4月17日日曜日

外国人にまかせよ

土壌や海、大規模調査へ 全国の研究者が放射線量を測定

福島第1原発の事故を受け、全国の大学や研究機関の研究者らが、地元の住民や土壌、海への影響を大規模に調査する取り組みを始めることが14日、分かった。参加するのは教授クラスの100人以上で、ほかの教員や大学院生も含めると数倍の人数が見込まれる。希望する地元住民の放射線量計測を支援する事業も立ち上げる。
 住民の放射線量測定は、放射性物質への不安に対応するためで、東京大と大阪大が中心となる。対象となる可能性があるのは、福島第1原発周辺の約20万人。そのうち放射性ヨウ素の被ばくで甲状腺がんになりやすい14歳以下は約3万人。
 大学や研究機関の教員、研究者、大学院生から放射線の計測ができるボランティアを募る。
 また、原発周辺の土壌について共通のデータベース作りを目指す。大阪大のチームは福島県が既に進めている調査と連携し、5月から第1原発を中心に沿岸部の南北100キロ、内陸部60キロにわたって1500カ所の土壌採取を行う。首都大東京などのチームは、福島県や茨城県で大気や降水、土壌のデータを集める。
 海については(1)福島県沖の放射性物質の分布(2)食物連鎖に伴って生物に濃縮される放射性物質の量(3)生物に及ぼす影響―などの調査を予定。
 海洋汚染調査に関与する気象研究所の元職員、広瀬勝己さんは「個別の研究機関でなく日本全体で対応し、きちんとしたデータを出さないと世界に申し訳ない」と話す。 (4月14日 北海道新聞)

全国の研究者を結集させて、大規模な調査チームをつくる。まったく理系の人たちは壮大な無駄をやる。
 福島第一の悪夢を生み出したのは誰か。産官学連携に組み伏された日本の学者たちじゃないか。この人たちがいくら働いたところで、信用されるわけがないじゃないか。
私は信用しない。
「緑の党」や「グリーンピース」が調査した結果は信じる。
こういうことは外国人にまかせよ。

追記
 日本人のなにがいやっていうと、「頑張ってる人を応援しよう」という甘さだ。科学と道徳を混ぜて語るバカが多すぎる。科学的方法というのはさまざまな検証にさらされるプロセスなのだから、主観や感情をまじえずにやってほしい。素人のつっこみにもたえられない「専門家」の働きなど、税金の無駄遣い。民間療法に金をつぎこむのと同じだ。

2011年4月15日金曜日

観光産業と原子力

3月の外国人観光客は半減した。
韓国・中国・台湾からの観光客がいずれも50%に落ち込んだ。
問題は受け入れ側の事情だけではなく、おそらく原子力災害の動向を見てキャンセルが発生した結果である。これは大変なことだ。東京はもちろん、地方の温泉宿なんかは大ダメージだろう。
 原子力で脳が被曝した右翼は、「外国人が来なくたって平気」というかもしれないが、地方経済にとって外国人観光客は大切な収入源だ。伊豆とか、北海道とか、外国人でもってたんだからね。
 「まだ大丈夫」とか「基準値をあげました」とかよくわからない意地を張ってなんとかなるのは日本村の世間だけであって、外国人にそういう屁理屈は通用しない。少なくとも基準値をWHO基準に揃えて、放射線量の調査を全国で実施しないと、もう誰も遊びに来てくれない。地方経済はじわじわと追いつめられていくだろう。

  

2011年4月12日火曜日

名古屋で緊急企画

■大変だワン! LOVE&ビンボー春祭り 緊急プレ企画

『原子力災害とその後』
白石嘉治×矢部史郎×飯尾裕光

■日時:2011年4月19日(月)
入場無料・1オーダーよろしく・投げ銭カンパ熱烈歓迎(ビンボー企画です)

■場所:オーガニックキッチン陽菜(ひな)
地下鉄名城線「矢場町」4番出口より歩いて2分(052-243-7242) 名古屋市中区大須4-1-12

 3月11日の東北・関東大震災は、かつてない大規模災害であると同時に、かつてない深刻な原子力災害をひきおこしました。
現在、福島第一原子力発電所では複数の原子炉施設が爆発し、放射性物質を噴き出しています。福島第一原発の周辺では、もう二度と人の住むことのできないだろう汚染地帯が拡がってい
ます。そして事態が収束するまでには、5年とも10年ともいう長い時間と、膨大な被曝労働者が必要であるとされています。
今回の緊急ディスカッションでは、自然と社会に大きな被害をもたらした原子力災害と原子力政策について考えます。
パネリストには、現代思想のシーンで先鋭的な論考を発表している白石嘉治氏と、著書『原子力都市』がある活動家、矢部史郎氏を招き、
地元名古屋からは、オーガニックレストラン経営の傍ら農業や自然エネルギーについての実践を研究中の飯尾裕光氏が、
現代思想シーン活躍する両名を迎え「フクシマ」後の状況を議論します。

■パネリスト
白石嘉治(しらいし・よしはる)
1961年生まれ。著書『不純なる教養』(青土社、2010)、編著『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論、2005)。訳書に、マルク・クレポン『文明の衝突という欺瞞』(新評論、2004)。

矢部史郎(やぶ・しろう)
1971年生まれ。著書『原子力都市』(以文社、2010)、共著に『愛と暴力の現代思想』(青土社、2006)現在、東京から愛知県に避難中。

飯尾裕光(いいお・ひろみつ)
1975年生まれ。名古屋市北区にあるオーガニックレストラン「みどりの屋根INUNNIQ」のオーナー。幼少の頃より親に連れられ反原発運動に参加する。現在は店を経営しながら大学院で自
然循環学を勉強中。特技は味噌仕込み、鶏解体、ギターなど。

■主催
アースデイあいち2011・LOVE&ビンボー作戦本部・070-5640-0219
http://blog.earthday-aichi.net/
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1871325

2011年4月11日月曜日

放射線は偽装できませんから

 福島県では原乳のブレンドが試みられているそうだ。
放射線濃度の高い原乳と、低い原乳をブレンドして、基準値をクリアさせるという方法だ。
 もう、悲しくなる。
 やっている人たちが一番わかっていると思うのだが、こんな方法はその場しのぎにもならない。ブレンドをして基準値をクリアしても、この牛乳は誰も買わない。食品偽装にもあたらない。偽装未満だ。
 たとえば、普通のコシヒカリに魚沼産コシヒカリというラベルを貼って高く売るのは、立派な産地偽装である。この種の偽装は、ちゃんと舌の肥えた人にしか見破れない、素人は簡単にだまされてしまう偽装だ。
 放射線牛乳は、違う。これは素人にもバレバレである。食品メーカーや消費者団体や管理栄養士さんはもちろん、ずぶの素人の私でも、測定機さえあればわかってしまう。もしかしたら家庭用浄水器みたいなお手頃値段で放射線測定機が普及してしまうことになるかもしれない。そうなるだけの充分な動機と実績を日本の消費者はもっている。
 もう悲しいことはやめさせてほしい。政府は被害を受けた事業者に充分な補償をしろ。

2011年4月10日日曜日

中年議員がイチゴ食べたからってなんなの

『現代思想』誌の原稿を書かなきゃいけないので、とりいそぎ乱暴に書くが、中年議員がイチゴ食べたからって安全性のアピールにはならない。この人たちはチェルノブイリの被害がどういうものか知らないのだろうか。
 誰でも知っていることなのだが、知らないか知らないふりをしているボケのために書く。放射線の被害には感受性があって、年齢が若いほど被害を受けるんです。若いお母さんたちがうろたえているのは、幼い子供ほど放射線の被害を受けるからなんです。将来出産したいと考えている若い女性たちが動揺しているのも同じ理由です。

蓮舫! 見た目は若くつくってるけど、若くないでしょ! あんたが食べても意味ないでしょ! 
消費者担当相がこんなボケをかましてるようでは、よけい不安になる。まじめにやれと言いたい。

2011年4月8日金曜日

うそつきNHK

 雑誌『現代思想』の元編集長と電話で話した。よく笑う人だが、いつにもまして爆笑していた。「もう、むちゃくちゃなんだよ、ぐはははは」と。本当にそうだ。
 最近のNHKの報道で笑ってしまったのは、格納容器への窒素注入についての解説。いわく、「格納容器は鋼鉄製で、放射性物質を閉じ込める最後の砦と言われる」。
 ちょっとちょっと。「最後の砦」というのは、格納容器じゃなくて建屋でしょう。「最後の砦」=建屋は、ずいぶん以前にぶっこわれてるでしょ。「最後の砦」が吹き飛んだから、アメリカ人も中国人も退避して近寄らないの。しれっと嘘をつくんじゃないよ水野。
 まったく。公共放送が皆様の受信料を使って嘘を垂れ流している。水野はだまってろ。

2011年4月6日水曜日

低線量被曝地帯

年間の被曝限度量、引き上げを検討  原子力安全委

 原子力安全委員会は5日、放射線量の高い地域の住民の年間被曝(ひばく)限度量について、現在の1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げるべきか検討を始めた。放射線の放出が長引き、「長く生活する観点で考えないといけない」とし、現実路線への見直しを検討する。
 会見した代谷誠治委員は「防災対策での退避は通常、短期間を想定している」と指摘。すでに数週間に及ぶ退避や避難の考え方について、政府から見直しを検討するよう相談されていることを明らかにした。 原発から半径30キロ圏外の福島県浪江町の観測地点で放射線量の積算値が上昇している。先月23日から今月3日までの積算値は10.3ミリシーベルトになった。日本では人が年間に受ける被曝限度量は現在、一律1ミリシーベルト。国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、緊急事故後の復旧時は1~20ミリシーベルトを目標としている。

2011年4月5日 asahi.com(朝日新聞社)

「長く生活する観点で考え」て、「現実路線」をとると、原子力安全委員会の専門家たちは被曝限度量の引き上げを検討するわけだ。これは、コロンブスの卵だな。
 私なんかは常識的な発想にとらわれた素人だから、「長く生活する観点で考え」ると、被曝限度量の引き下げ&避難範囲拡大&作付け禁止範囲拡大、というふうになるものだと考えていた。なぜなら、原爆症認定問題をちらっと見るだけでも、問題の大部分は低線量の被曝者たちだからだ。被曝問題というのは、「ただちに」健康に被害を受けた人たちだけではなく、長い時間をかけてじわじわと放射線量を蓄積した人たちの被害の問題である。だってほら放射線って見えないから。大丈夫大丈夫でやっていると、自分でも気づかないうちに低線量の放射線に曝されて蓄積してしまうのだ。もちろん国はそういう被害を認定しない。それは生活習慣の不摂生じゃないですか、自己責任ですねってことになるだろう。
 原子力安全委員会が最大20倍の被曝量をOKにしようと書類を書き換えているのは、今後膨大な被曝者問題が起きることを想定しているからだろう。首都圏も例外ではない。人口規模で考えれば、むしろ首都圏の被曝者問題こそが、今後大きな問題になるだろう。
 東京はすでに低線量被曝地帯である。数年か十数年後に、数万人規模の「原爆ぶらぶら病」が再現される。

追記 
 原稿がなかなか進まないのでDVDを観た。
『仁義なき戦い 広島死闘編』。村岡組山中正治(北大路欣也)と、大友組大友勝利(千葉真一)を描いた回だ。
 若いやくざたちは、年寄りにだまされるか年寄りを踏みにじるかして、暴力にあけくれ死んでいく。彼らは広島のほこり立つマーケットで、自覚できない内部被曝にじわじわと体を蝕まれながら、抗争を繰り広げたのだ。映画では明示されることはないが、これは低線量被曝地帯の映画だ。
 

2011年4月5日火曜日

製紙産業と原子力

東日本の生産設備が大きな打撃をうけているが、そのなかで、紙とインキの生産が滞っているらしい。「紙」というのがどこからどこまでを指しているのかわからないが、製紙業の再建にとってフクシマの放射性物質は大きな障害になるだろう。
 子供がはじめに触れる工業製品は、紙・パルプ製品だ。ティッシュペーパー、キッチンペーパー、紙おむつ、絵本、画用紙などは、今後、放射線測定が行われるかもしれない。製紙の放射線が管理対象になれば、インキや印刷も対応を迫られるだろう。
乳児は絵本たべるからなー。大変だー。

2011年4月2日土曜日

ただちに健康に影響を及ぼすものではない

政府・東電・NHKは、なにを考えているのだろうか。
「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」って、これから毎日言うつもりなのだろうか。そういうアナウンスを毎日すること=毎日聞かされることが、どれだけ異様な社会であるか、あ、自分の背中は見えないってことか。
 問題は福島第一の事故が未知の体験であるというよりも、それに対処する人間社会の所作だ。大の大人が雁首そろえて毎日毎日「今日明日は大丈夫です」って、どんだけ電波の無駄遣いだよ。滑稽だと思わないのか。
 いや本当に問いたいのは、「ただちに~ない」報道を聞かされている側の態度だ。あんたたちはいつかNHKが「もう危ないです」と言ってくれるのを待っているのか。それとも、近所の乳幼児が「坑道のカナリア」みたいにぐったりして危険を知らせてくれるのを待っているのか。でもそれって近代市民社会的にどうなのよ。ふだん「個の自立」とか言ってた諸君。ちょっと考えてほしい。

2011年4月1日金曜日

地方自治体の動き

鳥取県が被災者200人臨時雇用へ

  鳥取県は31日までに、東日本大震災の被災者約200人を、県や市町村の非常勤職員として臨時雇用する方針を示した。県は「期間は原則半年だが、場合によっては延長も検討する。当面は生活を心配せずに避難を」と話している。

  県災害支援対策本部によると、被災地への物資輸送や被災者受け入れの調整など支援業務を担当してもらう予定。県の非常勤職員の場合、賃金は月額11万4800円。

  鳥取県は約2千人の被災者受け入れを表明しており、30日現在、4世帯20人が避難している。(共同)

ニッカンスポーツ/共同通信 [2011年3月31日11時51分]
http://ime.nu/www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20110331-755112.html
 パニックに陥っている政府とは別に、地方自治体はクールに動き出した。今回の災害の規模を考えれば、水や食糧を運ぶという方法はいつまでも続かない。被災者のための住居や仕事を用意し人間を移動させることが、もっとも現実的な方策だと思う。いま愛知県職員も福島に支援に行っているようだが、その最大の目的は企業移転の誘致だ。西日本各地の自治体が、そうした経済的関心をもって東北に向かっているのだろう。
 今後、東北(太平洋側)と関東の人々は、いやおうなく西日本に移動することになる。この人口の移動、地域経済の移転・再建に、われわれがどのようにコミットするかが問われている。行政(経済界)とNPO(コミューン運動)のレースは、すでに始まっている。