2011年11月14日月曜日

転載・「経産省前テントひろばの緊急声明」

経産省前テントひろばの緊急声明

 経産省前テントは脱原発、反原発の1つの運動拠点として、9月11日以来、本日まで64日となりました。3月11日の福島第一原発の事故は、チェルノブイリ原発事故に匹敵する大事故となり、それも未だ収束せず放射能を垂れ流し、日々環境を汚し続けています。福島第一原発の事故は、原発の安全性は全く嘘であり、著しく危険なものであることが証明され、原発そのものについての根底的な見直しが迫られています。政府や経産省は「福島第一の事故を踏まえた安全対策」「シビアアクシデント対策」「ストレステスト」等といいながら、その内実は無に等しい態勢のまま、定期検査や事故で休止中の原発を「再稼働」させようとしています。
 他方、福島原発事故はいまだ収束せず、大量の放射能が既にばらまかれ、今日も出し続けられています。蓄積され放出された放射能は子どもたち、妊婦、女性たちを犯し続けていにもかかわらず、政府・文科省・経産省はそうした危険に関して、責任ある施策を示していません。
 経産省前テントは、原発そのものについての根底的な見直しを迫るものであると共に、政府・経産省の「再稼働」の策動に反対するものです。
 9月11日にうち立てられたテントは、経産省の管理の国有財産とは言え、公共的空間に存在する市民的運動の拠点、脱原発の正義の場となっています。
 しかし、原発について重大な反省を持たない経産省は一方的に「退去・撤去」を迫り、私たちの意志が堅いとみるや、右翼を使って執拗な妨害を加えるようになっています。右翼が経産省の意向に乗っているのか、経産省がやらせているのか、ここは微妙ですが、ほぼ一体となってテントに対する脅迫とイヤガラセが繰り返されています。右翼は「(経産省が)撤去させられないなら、俺たちがやってやる!」ということであり、経産省はその勢いに迫られてか、テント周囲にバリカーなるもので鎖を張って「関係者以外の者の立入禁止」等の札を貼り巡らせました(11月12日)。前日11日の雨中の圧倒的な人間の鎖に対する報復でしょうか。同日20時過ぎにはまた右翼がやって来て、一触即発の状況もありました。
 私たち「テント共同ひろば」は、経産省の前の公共空間にテント等を建てて、様々な訴えを行う正当な権利を有し、市民的義務があるさえ思います。したがって、いかなる脅迫イヤガラセに対しても、自らテントを引き上げるようなことはあり得ません。
 経産省は再稼働できないままいくと、来年の4月には大きな政治的危機を迎えることになります。簡単に再稼働出来ないことと簡単にテントを撤去出来ないことは似ていますが、脱原発の大きな市民的国民的うねりがあるからです。ここにも政府や経産省の本音と建て前の矛盾があります。
 私たち経産省前テント広場は60日余にわたって皆様からの暖かい励ましの力を頂いておりますが、脱原発・反原発の思う全ての市民の皆様に改めて「経産省前テントひろばを真に共同の場として守り抜くために、様々な力をお寄せくださいますよう」呼び掛けたいと思います。

 2011年11月13日(日曜)
         経産省前テントひろば代表 淵上太郎

以上、転載終。


コメント

 今年から来年にかけて、天皇アキヒトは死ぬ。近い将来、天皇代替わりの儀式がおこなわれる。次の天皇が具体的な政治介入を試みるとするならば、それは東電事件にかかわる問題になるはずだ。
この事件について膠着状態に陥った日本権力機構は、誰かの決裁を待ち望んでいる。決裁とは、線引きをすることだ。年間被曝量の許容量、避難区域と除染区域の線引き、食品流通の基準値、これらの線引きを決定することである。もしも先代の天皇ヒロヒトが生きていたら、この難儀な問題にまよわず口出しして、非公式の(法外の)決裁を発動しただろう。そしてヒロヒトの決裁が、日本権力の諸グループに統制を与え、民衆の求心力を回復したはずだ。
私たちにとって幸いであったのは、アキヒトにはそんな矢面に立つ根性はなかったということだ。彼はただ福島をうろついて、自ら体調不全を示しただけだ。しかし、天皇代替わりの機会に、次の天皇がでしゃばってこないという保証はない。だから、私たちが急がなければならないのは、天皇が何かを言う前に、民衆自身の手で線引きを確定すること、具体的な線引きを既成事実にしてしまうことだ。
いま経産省前の座り込みが示し続けているのは、国家の無秩序と民衆の秩序との対照である。日本権力の決裁を待たず、いちはやく別の秩序を生み出しつつある「われわれ」を、テントひろばは示している。法の無秩序に、法外の秩序が対置されているのである。これは、座り込みをしている人々がどういう意図であるかとは関係なく、事実行為としてそうなのだ。
 右翼が怒っているのは、とてもよいことだ。奴らをもっと怒らせてやろう。